【にゃんこ先生の今日の養生(3)】 目の酷使は精血を奪っていきます
目という感覚は、五感器の中でも、特に脳の中で処理しなければいけない情報量が膨大と言われています。目に入ってきた多くの情報は、ただ入ってくるだけではなく、遠近感や色感などの感覚野で処理され、されにはその情報が危険なのかそうではないのかを判断する中枢にも入ります。しかもそれらの情報はゆっくり判断されるのではなく、常に機敏に処理をしていかなくてはいけません。
これだけ膨大な作業をしてくれている目の作業は、「精血(せいけつ)」というもので養われています。
身体に流れている血液のことを、東洋医学では「血(けつ)」と言いますが、その血の中でも最もきれいなエッセンスのことを「精血(せいけつ)」と呼びます。精血は酸素や栄養をよりよく運ぶことができるものですから、身体にとってはとても重要な働きをしています。
目を酷使すると言うことは、この精血を大量に使うことになりますので、精血がどんどん奪われていくことになります。
精血がなくなると、それを補わなくてはいけないのですが、精血はエッセンスなので、そう簡単に補うことが出来ません。まず大本の造血作用を引き出してあげることからはじめないといけませんので、精血は大事に大事に使っていかなくてはいけません。
現代医学でも、目の疲れを「眼精疲労」と言いますが、この「眼精」とは、まさしく“眼の精血”という意味が含まれているのだと思います。
現代はパソコン作業が当然であり、さらにスマートフォンやタブレット端末の登場によって、四六時中、目から精血が奪われている時代になっています。
さらに東洋医学では、目と肝臓が繋がっていると考えています。
肝臓が目を養っているので、肝臓が悪くなると目が悪くなることもありますし、逆に、目の使いすぎは肝臓の調子を崩してしまうこともあります。
目を酷使するのも良くありませんが、それに加えてアルコールの摂り過ぎで肝臓への負担が増すと、さらに精血が少なくなっていきます。
精血が少なくなりますと、血液全体の働きが落ちていきますので、さらに進むと「瘀血(おけつ)」という状態になっていきます。
瘀血(おけつ)になると、酸素や栄養を運べない、機能の落ちた血液で身体を養っていかなくてはいけないので、そこから頑固な肩こりや、慢性的な腰痛、頭痛(筋膜性頭痛、偏頭痛、緊張型頭痛など)の原因となります。女性の場合ですと、この瘀血(おけつ)が下腹部にたまることも多く、それが不妊の原因にもなったりしますので、気をつけなくてはいけません。
ということで、パソコンやスマートフォンなどの使用はなるべく使用時間を限るようにし、また、使った後は目を休めるなどの工夫が必要となります。
とても大切な目という感覚を、いつまでも大事に使いたいですよね。
そして眼の使いすぎは、瘀血(おけつ)という、より悪い状態になっていく要素がありますので、気をつけて欲しいところであります。