好き嫌いのあるのは誰じゃ~
私は患者様に鍼灸を施術した後、「こんなものをよく食べてくださいね」、というアドバイスをします。その時に根拠になるのが脉診や東洋医学の基礎知識、そして鍼をしてみての身体の変化などなのですが、例えば「鉄分が不足してますから、レバーなんかをよく食べるといいですよ」という感じで患者様にアドバイスをします。
しかしそんな時のお返事に、「レバー、食べられないんですぅ」という声を聴くことがあります。レバーは癖が強い食べ物ですので、好きと嫌いの振れ幅がもともと多いので、そんな返答も覚悟の上なのですが、中には、トマト、スイカ、きゅうりなど、普通に食卓に上りそうなものまででも、それは「嫌いだから無理です!」ときっぱりおっしゃる方がおります。
そんな返答を聴きますと、私はしょぼ~んとしてしまいます。せっかくアドバイスをしているのに、聞き入れてくれないなんて・・・。いやそれは分ります、嫌いなものを無理矢理食べるのは苦痛ですから・・・でも、そうはいっても身体のためには必要なのです・・・と、心の中で叫びます。
そしてまた思うのは、やはり好き嫌いがあったりすると、どうしてもその嫌いなものを避けるため、それ故に身体にも偏りが生じてしまう、ということです。嫌いなものは自分から好んでは食べないために、その食材に含まれている有効な成分が少なくなってしまいます。結果として、それが何年かすると自分の身体の歪みにもつながり、体調不良に及んでいくこともあります。
食事は毎日摂るもの。
そして毎日の食事で私たちの身体は作られています。
故に、自分の好みだけではなく、身体や頭のことも考えて、幅広く偏りのない食事をしたいものです。東洋医学では、「医食同源」「薬食同源」とも言いますので、時には薬として嫌いなものも口にする勇気を持ちたいものです。
最近の傾向として、好き嫌いがはっきりしているお子さんや大人の方も多いように思います。自立した一人の人として、好き嫌いなく万遍に食べるようにしたいものですね。